トラクタとプッシャ

「スカイ・クロラ」を見てきた。
前評判通り、空中戦は圧巻の映像だった。
手書きが中心の地上シーンと、CGで構成される空中シーンの対比が見所だ。

スカイ・クロラの世界で活躍する飛行機は、プッシャ型と呼ばれる機種が主だ。
プッシャとは、機体後部にエンジンとプロペラを搭載し、このプロペラの推進力に推されて
飛ぶ方式(ちなみに、プロペラを前で回して引っ張る方式はトラクタ)だ。

プッシャ機には、プロペラを最後部に置くことができるため
プロペラ効率が良い、戦闘機の場合は機首に武装が集中できる、
等のメリットがあり、第二次世界大戦末期に各国でプッシャ機が研究されたようだ。
日本でも海軍の局地戦闘機として作られた「震電」が試験飛行をしている。

しかしながら、プロペラが後方にあるので離着陸が難しい、エンジン冷却が大変、
パイロット脱出時にプロペラに巻き込まれやすい、等のデメリットがあり、
実世界では普及はしなかった。
趣味男が知る限り、実用軍用機ではコンベアB-36ピースメーカー位しかない。

「スカイ・クロラ」に登場する機体では、上記のデメリットを克服しており、
離陸時やパイロット脱出時のシーケンスなどで細かな描画がなされている。
気になる方は、ぜひ映画館で映像をチェックしてもらいたい。

世界で最初に飛行に成功した、ライト兄弟のライトフライヤはプッシャ機であり、
現在でも人力機(鳥人間コンテスト等に参加)にはプッシャ機が多いし、
最近では、無人偵察機等に採用されている例もある。

純粋にカッコ良いし、プッシャー型プロペラ機が実際の世界でも活躍してもらいたい
と考える今日この頃である。

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